概要

PANOVA-3研究は、局所的に進行した膵臓腺がんの一次治療に、ゲムシタビンおよび ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(Nabパクリタキセル)投与を伴う腫瘍治療電場(TTフィールド[Okd21] 、150kHz)を使用するピボタル、無作為化、非盲検研究です。

こちらの治験の登録は終了しています。お住まいの地域で他のオプションを検索する場合は、治験を見つけるに進むか、当社までお問い合わせください

PANOVA-3研究は、手術で治療できない局所進行膵臓腺がんと最近診断された患者さんを対象としています。膵臓腺がんは最も頻度の高い種類の膵臓がんです。この臨床研究は、膵臓腺がんの患者さんに通常実施される、ゲムシタビンおよびNabパクリタキセル投与にNovoTTF-200T機器を追加で使用した時の安全性と有効性を評価しています。NovoTTF-200Tは身体に傷をつけないタイプの医療機器で、腫瘍治療電場(TTフィールド)[TTフィールドの紹介]を腹部のがんのある場所に送達します。

治験依頼者である、ノボキュアGmbHは、このウェブサイトを利用して、患者さんが本研究について基本的な情報を得るお手伝いをします。

PANOVA-3研究に参加を希望する場合は、いずれかの参加医療機関[PANOVA-3センター]にできる限り早くご連絡ください。

TTフィールドの紹介

腫瘍治療電場(TTFフィールド)は、がん細胞の分裂を混乱させる電場です [TTフィールドの科学]。TTフィールドはがん細胞の帯電した細胞成分に干渉し、それらの正常機能を混乱させることで、最終的に細胞死をもたらす可能性があります。その結果、がん細胞の分裂が遅くなったり、停止したりすることもあり、腫瘍の成長を阻害します。

TTフィールドは、NovoTTF-200Tと呼ばれる治験医療機器を使って、腫瘍がある場所に送達されます。NovoTTF-200Tは携帯可能、軽量、バッテリー駆動の機器で、150kHzのTTフィールドを送達するように設計されています。

TTフィールドを受け取る患者さんは、ILEトランスデューサーアレイ(以下アレイ)と呼ばれる4つの粘着性パッチを腹部に貼り付ける必要があり、このパッチからがんのある場所に身体を傷つけることなくTTフィールドを送達します。本機器は患者さんが家庭で継続的に使用することを意図しています[TTフィールドと共に生きる]。

膵臓がん治療用のNovoTTF-200Tは治験用で、まだ米国の食品医薬品局(FDA)によって承認されていません。この疾患におけるTTフィールドの安全性と有効性はまだわかっていませんので、この臨床研究で評価されます。

TTフィールド療法は、再発性(単一療法として)および初発多形神経膠芽腫(GBM)の成人患者向けに(テモゾロミドと呼ばれる化学療法との併用で)、米国では市販前承認(PMA)経路の下で承認されており、欧州ではCEマーキングを取得し、日本では同じ適応症に対して承認されています。また、化学療法とTTフィールドの併用も欧州ではCEマーキングを取得し、米国ではFDAの人道機器適用免除(HDE)経路で、悪性胸膜中皮腫(MPM)の成人患者に対しても承認されています。

PANOVA-3治験

PANOVA-3研究は、医療機器NovoTTF-200T[About TTフィールドの紹介]によって産生される腫瘍治療電場(TTフィールド、150kHz)のピボタル、無作為化、非盲検研究です。研究に参加する患者さんは毎週、膵臓がんの治療に、ゲムシタビンおよびNabパクリタキセルと本機器を使います。本研究は、世界中の医療機関で556名の患者さんを登録する予定です [PANOVA-3研究の参加医療機関]。

ご注意ください:国によっては、NovoTTF-100機器を使用する施設とNovoTTF-200シリーズを使用する施設があります。特定の研究、機器、臨床試験実施計画書の情報についてはclinicaltrials.govをご覧ください。

PANOVA-3研究のデザイン

本研究は、手術で治療できない局所進行膵臓腺がんと診断された患者さんが対象です。最終的に研究に参加していただけるかどうかは、臨床研究の参加医療機関の1つの、臨床研究医師によってのみ判断されます。

本研究に登録されるすべての患者さんは、本研究に参加していない患者さんと同様に、ゲムシタビンとNabパクリタキセルによる膵臓がんの標準治療を受けます。すべての患者さんは無作為に次の2つの群のうちの1つに割り当てられます。

  • TTフィールド群:ゲムシタビンおよびNabパクリタキセルの標準治療に加えて、NovoTTF-200T機器を使ったTTフィールド治療を実施。

または

  • 標準治療群(コントロール):ゲムシタビンおよびNabパクリタキセルの標準治療。

各患者さんは、(コイントスに似た)「無作為化プロセス」によって、50%の確立で2つの群のいずれかに入ります。研究に参加していただけることになった患者さんは、書面による同意説明文書へに署名後28日以内に、本治験に登録できます。

TTフィールド群

TTFフィールド群に割り当てられる場合、患者さんは、NovoTTF-200T機器を使った、継続的なTTフィールド治療を受けます。

本機器の使用

治療を受けるために、患者さんはアレイと呼ばれる粘着性のパッチを腹部に貼り付ける必要があります。このパッチからTTフィールドが身体を傷つけることなく腫瘍のある場所に送達されます。アレイの配置には、機器の使用を開始する前に接触する場所の毛を剃る必要がある場合があり、使用を継続する限り週に2回剃毛します。患者さんが治療を受け続ける限り、アレイは定期的に取り替えられて新しいものが配置されます。

NovoTTF-200Tを使用するにあたり、資格を持った製品使用支援者(DSS)から機器を操作するための指導を受けていただきます。患者さんは本機器を自宅で継続して使用します[TTフィールドと共に生きる]。

指導を受けた後、NovoTTF-200Tを使用する患者さんはご自分で(必要に応じてご家族または介護者の助けを借りて)機器の設定と使用ができます。またはDSSからサポートを受けても構いません。

本機器はユーザーに優しいように設計されていますので、使用に関するすべての技術的な面はDSSが保守管理します。DSSはまた、各個人が通常の日常生活を維持しながらTTフィールドを受けることができるように、患者さんが技術的な解決策を探すお手伝いをします。

加えて、患者さんはゲムシタビンとNabパクリタキセルの標準治療を受けます。

標準治療群

標準治療群に割り当てられた患者さんは、ゲムシタビンおよびNabパクリタキセルの標準治療を受けます。患者さんは、標準治療に通常は含まれていない一部の検査を含む包括的な経過観察の検査を4週間毎に、患者さんへの費用負担なしで受けます。

加えて、研究に参加していただく患者さんはすべて、TTフィールドの有効性を評価するために使われる追加の情報とデータを提供していただくことで、将来の患者さんに貢献していただくことになります。

適格性
研究への参加条件を満たしているかどうかの適格性条件の全リストについてはclinicaltrials.govをご覧いただくか、PANOVA-3研究担当医師にご相談ください:

主要な組み入れ基準(要約、完全リストではない):

  1. 18歳以上。
  2. 組織学的に膵臓がんの診断が確定済み。
  3. 余命≥12週間。
  4. 手術で治療できない局所進行膵臓腺がんの診断。
  5. 週1回のゲムシタビンおよびNabパクリタキセルの投与を受ける意思があり、NovoTTF-200Tを操作することができる。
  6. 臨床試験実施計画書の同意説明文書への署名が完了している。

主要な除外基準(要約、完全リストではない):

  1. 腫瘍に対する緩和療法歴あり(例:手術、放射線)。
  2. 自身で、または介護者の助けを借りてNovoTTF-200T機器を操作できない。
  3. 妊娠中、または授乳中の女性。
  4. 元々の疾患とは関連していない深刻な疾患がある。
  5. 胴体部に植え込まれた電子機器(例:ペースメーカー)がある。

登録
こちらの治験の登録は終了しています。お住まいの地域で他のオプションを検索する場合は、治験を見つけるに進むか、当社までお問い合わせください

研究参加にかかる費用
本研究への参加には費用はかかりません。NovoTTF-200Tおよび付属品を含め、正当な治療関連の支給品については治験依頼者(ノボキュア社)が支払います。通常の診療過程で受ける医学的治療については、患者さんと健康保険に支払い責任があります。治験依頼者はまた、研究の手順に直接関連した正当な交通費に対して、患者さんに払い戻しする場合があります。そのような払い戻しは、患者さんが治療を行われる研究医療機関の方針に従って行われます。本研究に登録する前に、地域の払い戻し方針とご自分の権利について、医療機関の臨床研究チームとご相談ください。

PANOVA-3研究の参加医療機関

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TTフィールドと共に生きる

PANOVA-3研究のTTフィールド治療群に参加される患者さんは、平均で1日に18時間以上、継続的に機器を使用しますが、毎日の使用中に何かするために休憩しても構いません。治療担当医師が必要に応じて、治療予定と機器の使用を修正することができます。

DSSが患者さんと介護者に機器の支援を提供します。

ご注意ください:DSSは包括的な技術支援を提供しますが、医学的な質問は全て研究担当医にお尋ねください。

NovoTTF-200Tの使用

NovoTTF-200Tは、1日に18間以上継続的に使用することを意図しています。本機器は、家庭用または個人用電気機器と干渉しません。同僚や家族などの、非使用者がTTフィールドに曝露されることはありません。

NovoTTF-200T[PM2] について

NovoTTF-200Tは着用可能な携帯機器です。本機器の使用には、接触部位の剃毛と、アレイと呼ばれる粘着性パッチの腹部への貼り付けが必要です。もちろん、本機器を使用中のご自分の見た目やライフスタイルについて心配する患者さんもいらっしゃるでしょう。本体に接続されているアレイとワイヤは、患者さんの洋服の下に隠すことができます。洋服の下に隠すと、他の人に見えるNovoTTF-200Tの部分はキャリーバッグだけになります。メディカルチームは、本機器の最善の着用方法について、各患者さんに合わせた個別化援助を提供します。

患者さんにしていただくことは、定期的に接触部位を剃毛することに加えて、継続治療を確実にするために定期的にアレイを交換することです。メディカルチームがアレイ配置に関する計画作成と患者さんへの説明を援助します。

携帯性
本機器は通常の日常生活に干渉せずに、ライフスタイルを維持するオプションを患者さんに提供します。患者さんは、疑問のある活動すべてに関して、前もって治療担当医師に相談することができます。加えて、DSSがライフスタイルのすべての懸念に対処する情報を提供できます。

機器バッグは、ショルダーバッグ、バックパック、メッセンジャーバッグ、またはハンドヘルドとして着用できます。バッテリーを含めた本機器の総重量は約1.3キログラム(2.7ポンド)です。ノボキュア社より必要な数の携帯用バッテリーを提供することができます。

継続治療を確実にするために、数時間以上同じ場所にいる際には、NovoTTF-200TをACアダプターに差し込んでおいてください。

TTフィールドの科学

がん細胞は、膵臓がんの腫瘍内で素早く分裂して増殖します。これらのがん細胞はさまざまな種類の帯電要素をもっており、それが細胞分裂の過程で一定の役割を担っています。治療部位の他の健康細胞は増殖しても、スピードがずっと遅くなります。

TTフィールドの作用メカニズム

NovoTTF-200T機器は、低強度、波様の電場を腫瘍のある場所に運びます。これらの電場が腫瘍治療電場(TTフィールド)と呼ばれます。

前臨床研究では、がん細胞が増殖するときの形と大きさのために、TTフィールドが分裂細胞内部の帯電細胞成分の場所を変化させ、その通常機能を混乱させ、最終的に細胞死につながる可能性のあることが明らかになりました。

加えて、がん細胞は小さな積み木のようなものも含んでおり、それが細胞の必須部位をあちこちに移動させるモーターとして機能します。これらの小さなモーターは帯電していますので、TTフィールドがそれらの正常な向きに干渉します。その結果、がん細胞の分裂が遅くなったり、停止したりすることもあり、腫瘍の成長を阻害します。

TTフィールドの作用メカニズムのまとめを次のアニメでご覧いただけます:

TTフィールドは膵臓がんの治療に承認されていません。 この適応症についてのTTフィールド安全性と有効性は確立されていません。

過去の臨床経験

今日まで治験依頼者は、さまざまな腫瘍にTTフィールドを送達する、類似の機器をたくさん調査してきました。以前研究した機器とNovoTTF-200Tとの主な違いは、各機器が提供するTTフィールドの周波数です。治療した各がんの治療を最適化するために、製造業者は、研究室の実験データに基づいて、機器の周波数を調整しています。

NovoTTF-200Tの以前の機種であるNovoTTF-100L(P)は、手術不能の非小細胞肺がんの患者42名を対象として、この適応症でのTTフィールドの安全性を評価するために、標準化学療法とTTフィールドを併用するパイロット研究で評価されました。

類似の機器、NovoTTF-200A(オプチューン®とも呼ばれます)は、TTフィールドを脳に送達するもので、悪性度の高い原発脳腫瘍の一種である再発性および初発膠芽腫の成人患者の治療に対して、FDAの承認を受けています。オプチューンは膠芽腫の治療に対して欧州でCEマーキングを取得し、現在では日本でも承認されています。

副作用

TTフィールドの科学的背景と現在までの臨床結果に基づいて、NovoTTF-200Tは膵臓がんの患者さんにおいて全身性の副作用があることは予想されません。膠芽腫について調査された機器であるオプチューンを用いて実施された以前の研究において、アレイの真下の皮膚に局所的な刺激を経験した患者さんが高い割合でみられました。その重症度は、大半の症例で軽度から中等度でした。

前述した非小細胞肺がんを対象とした研究において、研究担当医師がTTフィールドが原因だと考えた重篤な全身性の副作用はありませんでした。本機器に関連した唯一の副作用は、皮膚の上に貼られたアレイの真下の皮膚の軽度から中等度の刺激でした。

このウェブサイトで提供している情報は一部ですので、 TTフィールドの完全な安全性プロファイルについては治療担当医師に相談してください。

よくある質問

本研究の目的は何ですか?

このパイロット研究は、膵臓がんの治療用として、ゲムシタビンとNabパクリタキセルをTTフィールド治療と一緒に使用した際の安全性と有効性を評価するためにデザインされています。

PANOVA-3研究に参加するにはどうすればいいですか?

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TTフィールドに予想される副作用は何ですか?

現在までの臨床データに基づいて、NovoTTF-200Tの使用には全身性の副作用は予想されません。一部の患者さんは、アレイの真下の皮膚刺激を経験しました。TTフィールドが送達されるとき、アレイが真下の皮膚の温度を少し上げ、ヒリヒリ感を起こす可能性があります。

NovoTTF-200Tの使用による可能性のある副作用、PANOVA-3臨床研究における他の治療の追加情報については、いずれかの参加医療機関の研究担当医師にご相談ください[PANOVA-3研究の参加医療機関]。

機器は常に携帯する必要がありますか?

患者さんは、常に機器を持ち運ぶ必要はありませんが、一箇所に継続的に置いて使っていただくことになります(例:机やテーブルの上、またはキャリーバッグに入れて床の上で)。本機器は通常の日常生活が送れるように設計されました。本機器と携帯型バッテリーの重量は合わせて約1.3キログラム(2.7ポンド)で、歩いて移動する際は、専用のショルダーバッグやバックパックに入れて運ぶことができます。

TTフィールドの使用は家族や他の人々に何かリスクがありますか?

同僚や家族などの、非使用者がTTフィールドに曝露されることはありません。本機器の使用は家庭用または標準的な個人用電気機器と干渉しないはずです。

この機器は私の社会生活にどう影響しますか?

この機器は、日常生活の大半を維持しながら使うことができます。アレイは洋服の下に隠せます。製品使用支援者(DSS)が、TTフィールドを使うときのあなたの見た目やライフスタイルの問題に関連した援助と支援を提供します。追加の情報については、TTフィールドと共に生きるをご覧ください。